「わたしにとって結婚とは就職すること」と彼女は言った。


先日20代の女子と話していて「さくらさんは結婚しないんですか?」
聞かれたので「う〜ん。結婚することにこだわってねーからなあ」と応えると、
「『こだわってない』ってゆーのが、こだわってる事じゃないんですか!?」
と怒ったように彼女が言った。
仕事のできる優秀な彼女は、専業主婦である自分の母のような生活を送ることが
夢だといっていたから、フェミっぽいわたしの発言が腹立たしかったのだろう。
わたしはその時「何言ってんだコイツ!?」と思ったが、
後になって「彼女の言ってることは正しい」と気付いた。


そう、わたしは『結婚』にこだわっている。
もう少し正確にいえば『結婚することがなぜ常識なのか』ということに。


20代で営業の仕事をしていたとき、Kという気の合う同い年の同僚がいた。
Kは超美人なのに、ヘビィスモーカー&パチンコ大好き!なオッサン気質。
わたしたちは同じくらいに入社したが、Kは1年足らずで会社を辞めた。
理由は単純、営業成績が上がらなかったからだ。
わたしはその後数年間営業の仕事を続け、
退職したKと飲みにいったある日、彼女がしみじみ言った。
「わたし結婚することにした。仕事して自分で食っていきたかったけど、
その力がないことに気付いてん。結婚しなひとりでは生きていかれへんやろ?
あんたには選択肢があるんやから、がんばって仕事続けなぁ〜」


大型トラックの運転手になりたかったというKの選択。
彼女はフェミなんて知らなかったはずだけど
“軟弱フェミニスト”だったわたしの中に、Kの言葉が強烈に残った。


今彼女は、2人の子どもに恵まれて忙しい肝っ玉母ちゃんとして活躍中。
しあわせな毎日を送っているはずだと思う。
全然会えてないけどわたしは今もKが好きだ。        続く(多分)


★本日のBGM:橙(チャットモンチー)