失敗


確か19か20歳の時。
友人に大事な話があり待ち合わせをしていた日に
わたしは寝坊して大遅刻してしまった。
当時は携帯電話もなく、彼女はずっとわたしを待っていた。
あせって駆けつけ遅刻を詫びたわたしに対して
「自分で呼んでおいて、いい加減すぎるんじゃない?」
怒りを抑えるように静かに言った後、彼女はその場を立ち去った。


わたしは身体が凍りついたようにただ呆然としていた。
確かに悪いことをした。
けれど「ただの」遅刻に過ぎない…悪気もなかった……
彼女の怒りに満ちた表情と言葉が頭から離れなかったが、
わたしは自分の行動をそんな風に弁解しようと必死だった。


しばらく悩み続けた末にたどり着いた答え。
「自分の言い訳は、彼女にとってみれば何の意味もない」


もう一度会うことをお願いして、わたしはただ謝った。
「あの日遅刻してきた時、あまり悪いと思ってる風には見えなかった」
と彼女は言った。「もう怒っていない」とも言ってくれた。
わたしはあの時「本当に申し訳ない」と思っていたのだけれど、
自分の失態を取り繕うことに必死で、その気持ちが表現できなかった。


この時のことが忘れられないのは、
今でも似たような失敗を繰り返すからかもしれない。
自分を取り繕おうとして、結局本意が相手には伝わっていないこと。
どうすればこの失敗をしない自分になれるだろうか。
考え続けるのは、自分が「変わりたい」と願うからだ。


★本日のBGM:Sweetness(Jimmy Eat World)