ヒラリー・クリントン国務長官 退任演説(抜粋)


「ここにさまざまな人権があり、我々の民主主義へのサポート、及び法制度があり、権力があり、そして我々が無視してはならないさまざまな価値観があります。前世紀において、アメリカ合衆国はその人民にユニバーサルな権利があり、政府にはそれを守る義務があるということで知られ、世界をリードしてきました。しかし現在は、我々自身を今日成長しつつあるさまざまな闘いの最前線に置かなければなりません。それは世界中のLBGTコミュニティや宗教的マイノリティなど、どこであれ、何者であれそれを守るために闘わないといけないものです。しかし、すべての国々が地域的なものであれ、世界的な規模であれ、人権が侵され法の支配が弱体化するときに平和が脅かされているのは偶然ではありません。

より具体的にいえば、女性や少女たちが“二等”の存在であるとされ、たいして重要ではない人間であるとされている場所があります。 パキスタンの若きマララ・ユサフザイさんに聞いてみたらいかがでしょう。もはや学校に行くこともできず、恐怖のなかで暮らすマリ北部で暮らす女性たちに聞いてみてください。 東コンゴで戦闘の武器として使われ、レイプに耐えながら暮らす女性たちに聞いてみてください。

そしてこれが、私が今日短く強調してみせたことの最後の一例です。なぜならば、すでに陪審は下され、すべての証拠は完全に明白の余地なく揃っている以上、世界中のどこへ行っても女性と少女たちが男性と等しく同じ権利と尊厳、そして機会を得られるならば、我々はどこへ行っても政治的及び経済的な成長を目の当たりにするだろうということです。ですからこれはただ単にモラルの問題だけではありません。もちろん、そういった部分もありますが……。これは経済的な問題であり、防衛的な問題であり、21世紀におけるまだ終わらぬ仕事です。ですから、この問題はアメリカの外交政策の中心となるべき問題なのです。

私が国務長官に就任していちばん最初に行ったことといえば、 the Office of Global Women's Issues(米国政府内における女性問題担当部門)をメランヌ・ヴェルヴィエの下に置いたことです。そして非常に喜ばしいことに、昨日、オバマ大統領がこの部門を永久に政府内に設置するというメモランダムにサインしました。

過去4年間に我々が成し遂げたこと――(拍手起こる)―― ありがとうございます。過去4年間に、我々は国連における平和と安全を構築しようとする女性たちへの差別廃絶に対して大きな取り組みを行いました。そのことで、リベリアなど多くの国々で成果を見ることができました。我々はエジプト、チュニジア、そしてリビアの元首たちに女性たちを市民として平等に認め、それに対して重要な取り組みを行うよう示唆してきました。 我々は仕事を作り出し、成長を促す世界中の女性起業家たちをサポートしています。

テクノロジー、発展、人権、女性問題。私は現在、多くの専門家たちがこのリストを聞いて、『それは全部少しソフトな問題じゃないのか? ほかのもっとハードな問題について取り組むべきなのでは?』というのが聞こえます。それは、間違った選択です。我々は双方を必要としていますし、誰もそれ以外の考えをするべきではないのです。」